ハナへのドライブ計画
ハナはあこがれの場所だけど、ちょっとハードルが高いイメージがある。
情報も少ないし、ラジオやWIFIも入りにくいし、陸の孤島や秘境ともいわれる。
舗装されていない道路があるとか道が細くて危険とか、ドライバーをこわがらせる話も多い。
が、実際に行ってみるとそこまで困難な道のりでもなかった気がする。
現在では、舗装されていない道はハナを過ぎた先にある短い区間だけになっているのだ。
実際その区間はレンタカーの保険がきかないのだが、4輪駆動でしか通れないというほどの
ダーティーロードでもない(大雨の後は注意が必要だが)。
確かに車1台分しか幅のない細い山道が続くところは、
初心者ドライバーであればなかなか厳しい道ではあるが、
慣れたドライバーにはさほど苦にならないはずだ。
なんでもだだっ広いハイウエイばかり走っている本土のアメリカ人が、
ハナを悪路だと騒ぎ立てて有名にしたらしい。細い道に慣れている日本人から見ると、
そんな「Survived Road to Hana」とかステッカーを付けるほどの悪路かなあ・・という感じである。
とはいえ簡単に行って帰って来られる場所でもないので、ドライブ計画は入念に立てよう。
ハナの集落をゴールとして来た道を戻るコースならば、片道3時間だから半日でもOK。
ハナを通過してその先を進み、東マウイをぐるりと周遊するコースならば丸1日かかる。
後者ならば早朝にパイアを出ても、ゴール地点のアップカントリーに着くころには
とっぷり日が暮れてしまう。
途中、どこでどれくらい寄り道をするかにもよるが、ハナ経由の東マウイ一周ならば、
スタートはパイアを7時台もしくはそれより早く出るのがおすすめだ。
このエリアは電波状況が悪くてラジオはもちろんWIFIも入りにくく、
現地で調べられないこともある。注意しておこう。
ここではパイア→ハナ→オヘオ→カウポ→ウルパラクア
とドライブしたコースを紹介する。
ハナへの導入は→ハナへの道①
ハナへの出発は早朝のパイアから
どこに泊まっていてもスタートはパイアの町ということになる。
ここで朝食や水、スナック類を調達していこう。
おすすめはマナ・フーズというオーガニックスーパーだ。
デリも充実しているしトイレも駐車場もあるので理想的。
だがオープンが8時とちょっと遅いのが難点か。
ハナ・ハイウエイ沿いにはハナ・ピクニック・ランチがある。
おもにハナ方面へドライブする人のためにサンドウィッチ等を販売しているテイクアウトの店で、
こちらは7時オープンなので安心だ。
店の隣にはおそらく経営が同じパイア・ジェラートも入っていて賑わっている。
パイアの町の端っこ(ハナ方面)にあるクアウストアという
新しめのグロサリーストアもおすすめだ。
6時半からオープンしていて、デリやイートインスペースがあるので朝食も食べられる。
ある天気の良い5月某日のこと。
地元カメラマンのMさんにドライバーをお願いし、ハナ経由の東マウイ一周ドライブに出かけることにした。
パイア到着は7時過ぎ。クアウストアで水やスナック類、軽い朝食を調達して出発した。
ハイクの町に入り、しばらく進むと車が数台停まっている観光スポットらしき場所が現れた。
車を駐車し、人々が大勢集まっている方へ歩いていくと滝が見えてきた。
「アメリカ人はなぜか滝が好きだよね」と私
「すぐ飛び込むよね」とMさん
ここはツインフォールズと呼ばれる場所だという。
うっそうとした緑に囲まれていくつか滝もあるこの森は、トレッキングコースにもなっている。
私が見た小さな滝は駐車場から歩いて20分くらいで着いたが、ツインフォールズと呼ばれる2つの大きな滝は奥にあり、
そこまでは往復1時間強ぐらいかかるそうだ。
しかも見るからに森はワイルドで、その日も前日の大雨のため途中で道が閉鎖されており
、奥の滝まで歩いていくのはちょっと勇気がいる。
こんな出発地点で時間を食っていてはハナに着くのは夕方になってしまうので、車に戻って先を急ぐ。
その少し先にもかなり気になる大きな植物園もあったのだが、
先を急ぐためやはり涙をのんでスルーした。
そこから先は30分以上、細い曲がりくねった山道が続く。
ハナまではなんと600ものカーブがあるといわれているのだ。
難所といわれるこの辺りをドライブするのに知っておきたい重要なことがある。
それは相次ぐカーブで頻繁に出てくる「YELED」の交通標識だ。
「車1台分の幅しかないので、一時停止や徐行をして対向車に道を譲らなければならない」という意味である。
この英語なんだっけ?と現地で思っても車を停めてスマホで調べる余裕はまったくないので、
必ず事前に覚えておこう。わからないと事故になりかねない。
私は一瞬思い出せなくて冷や汗をかいた。
この辺りの道中は各カーブに1個ずつといってもいいくらい、滝がたくさん登場する。
その景色は美しいのだが途中に車をとめるスペースはなく、運転者が見る余裕はゼロ。
ここはひたすら山道ドライブに徹するしかない。
しばらく進むと、少し開けた場所に展望台がある。
ここは「カウマヒナ州立公園」だ。駐車場が広く、ベンチやトイレもあるので、車を停めて休憩することにした。
展望台の先端へ歩いていくとケアナエ半島や海を臨む景色が広がっている。
しかしこのときは雨模様。。
ハナはとても雨が多いエリアだ。年中、雨が降ったりやんだりしている。
だから朝に雨が降っているからといって、観光計画をすぐ中止してしまうのも早計だが、
大雨だと悪路でドライブが危なくなることもある。そのあたりの見極めが難しいところだ。
公園を出発し、ケアナエ半島の方へ向かう。雨はまだポツポツと降っている。
ハナまでの行程のどれくらい来たかMさんに聞くと、だいたい半分弱かなとのこと。
車の窓から少し明るくなってきた空を見上げ、ハナに着くまでにやむといいなと思う。
ケアナエ半島の集落には昔からハワイアンの人々が住み、
現在でも昔ながらの生活を営んでいる。村にはタロイモ畑が広がり、
その合間に小さな家がぽつんぽつんとたっている。
ちょっとさびしいくらい静かな雰囲気が漂う村だ。
半島の海岸沿いは波が荒く、まるで冬の日本海のように岩に波が打ちつけている。
車を停めて村を少し歩いていると、古い教会らしき建物を見つけた。
中には誰もいなかったが、よく見ると現役で使われているらしい。
この場所を象徴するような素朴で静かなたたずまいだ。
村を歩いている間、村人を1人も見かけなかった。
集落の出口のところにあった売店でハナ名物のバナナブレッドを購入する。
作りたてだったせいかしっとりしてとてもおいしかった。
バナナブレッドはハナの名物と言われているが、元祖の店もないし、
特にその誕生にストーリーもないようだ。
地元の人に聞いても「バナナがあちこちにあってもったいないから、
地元の人たちが簡単なブレッドにして観光客相手に売り始めたんじゃない?」というゆるい答え。
とにかくいろんな場所で売っていてどの店が正解ということもないので、
どこで買ってもOKだ。
おそらく味も大差ないだろう。
このあたりからまたドライブは大変になる。
カーブが続きそれと同じくらいの数の滝が続く。
Hanawi Falls やMakapipi Fallsなど大きな滝もある。
途中の山道は車が停められないが、ところどころに駐車場や休憩所が設置されて観光スポット化された場所もあり、
見どころはまあまあ多い。
なかでもプア・ア・カア州立公園などはかなり広い。
この辺りでコーヒーブレイクしたくなったので、ナヒクという小さな集落に寄り、カフェでコーヒーを購入。
ナヒクにはカジュアルなレストランなどもある。
既にここまでで11時過ぎくらい。
まだハナに着いていないと思うと、東マウイ一周できるか不安になるがドライブを続ける。
ワイアナパナパ州立公園で伝説の洞窟を見る
雨が上がって少し明るくなってきた。
ハナまでの道のりの最後の観光スポット、ワイアナパナパ州立公園に寄る。
ここは伝説の洞窟とブラックサンドビーチがある神聖な場所だ。
この地にまつわる伝説とは、昔この地にいたカカエという酋長が
自身の美しい妻ポポアラエアを嫉妬にかられて殺してしまったという話だ。
疑いをかけられたポポアラエアは逃げてここの洞窟に隠れていたが
夫の部下に見つかって殺されたのだという。
なんだかまるでシェークスピア劇になりそうな話である。
洞窟の下の方には溶岩が堆積してできたブラックサンドビーチが広がっている。
泳ぐようなビーチではないし、暗い伝説にふさわしい聖地っぽい場所なのだが
なにせアメリカ人の陽気な観光客がいっぱいで雰囲気は台無し。
さて次回はいよいよハナに入る。