2020年、マウイの春は今までに見たことのない風景が広がっている。
4月の観光客は0人。
ハワイアン航空の国際線は飛んでいないというし、島はロックダウンしているのだから当然である。
現地の知人によると、観光客でにぎわっていたラハイナもゴーストタウンのようになっているという。
でもなんとなく現地の人々にあせりやイライラがあまり見られないのがマウイ。
たまにはこういう昔のようなのんびりしたマウイもいいわという感じで、
マイペースに暮らしている人も結構いるようだ(もちろん生活に困って大変な方もいらっしゃると思うのですが)。
まあ気晴らしに散歩に出れば、とんでもない大自然が目の前に広がっているわけだし、
我々のようなギュウギュウの自粛生活とはだいぶ勝手が違うのかもしれない。
とはいえハワイの人たちの感染症に対する恐怖心は、実は私たちよりはるかに大きい。
小さな島だから感染は蔓延しやすいし、医療設備も本土ほど潤沢ではないからだ。
白人の上陸とともに持ち込まれた感染症により、莫大な数の死者を出したという歴史の記憶もある。
今年3月のロックダウン直前、何の規制もなく押し寄せる観光客に業を煮やしたローカルの人々は空港で、
観光客、帰れ!というデモをしていたらしい。GWの沖縄みたいな心境だろう。
地元の人がいやがっている小さな島に無理やり押しかけるような行動は、迷惑がられても仕方がないということだ。
マウイでいま空いているのは銀行や郵便局、スーパーだけだそうだ。
そういえば、3月中旬の時点でオーガニックスーパーのダウントゥーアースの広報からは、
コロナに関するかなりしっかりしたお知らせメールが来ていた。
従業員はすべてマスクと手袋を着用。デリはすべて個別包装。カートは消毒。
朝の7時からの1時間は高齢者や基礎疾患のある人専用。デリバリーサービスもあり。
日本なんぞまだオリンピックとかほざいていた時期から、これだけ徹底してやっているのだ。
これに比べたら日本はいまでもまだぜんぜんゆるいと思う。
マウイは極端に分けると、本土から来た白人の富裕層(有名ミュージシャンとか大富豪とかケタ違いの大金持ちも多い)と、
昔からハワイに住むローカル(おもにハワイアンやアジア系移民)に二分される。
富裕層はしばらく仕事がなくてもどうということもないと思うが、心配なのはローカルの方だ。
小さな古いローカルレストランなどは大丈夫だろうか。日系人のきさくなオーナーさんが営むテイスティ・クラストとか、
若いローカルシェフがオープンさせたフォーク&サラダとか。
次にマウイを訪れたとき無くなっていたらすごく悲しい。
それでなくてもハワイでは古き良きダイナーなどが次々と姿を消しているのだ。
このコロナ禍でそれに拍車がかかってしまうのではないかと心配している。
遠くから何もできないのが情けないが、そんなマウイの小さな店が、
何とかこの事態を乗り切ってくれることを、心から祈っている。
World famous Pancake!
また会えますように・・。