家でのおこもり生活にひまを持て余した4月、apple musicに手を出した。
結果、なんで今までやってなかったんだろう!というくらい便利でした。これ。
ここのところ10年くらい止まっていた音楽ライフが突然動き出したという感じ。
勢いにのってハワイアンミュージックも今どきのものに更新・・しようと思ったけど、
なんかこう今ひとつ気分が上がらない。
やっぱりハワイアンは90年年代前後が一番盛り上がっていたみたい。
注目の若手ミュージシャンもいるけれど、昔のように大人気!という感じではない模様。
さわやかなハワイアンミュージックを流しておくと、
よどんだ家の空気が一気に浄化される気がするので、こんなご時世にはいいかもしれない。
というわけで私の勝手なジャンル分けによる、おこもりハワイアンプレイリストをご紹介。
ジャンル1:ソロボーカリスト
フラダンサーやハワイアンファンじゃなくてもとっつきやすい曲を歌う有名ソロボーカリスト、
かつ日本人好みという基準にて。
まずは誰にでも入りやすい人気どころから。
ハワイアンミュージックの一番のスターといえば、やっぱりこの人。
ケアリイ・レイシェル Keali’i Reichel。
私がアラモアナのタワレコでデビューCDの超特大ポスターを見たのはたぶん1995年。
伝統的な白のマロ(ふんどし)姿がまぶしかった。
なんやかんやいって、このデビューCDが彼のベストだし、
ハワイアンというジャンル全体でも歴史的1枚になるものだと思う。
伝統的で本格的な詠唱が随所に入っているのに、洗練されたポップスアルバムとして、
誰にでも違和感なく楽しめる。
今聞いてもぜんぜん古臭くないし、どこまでも癒やされる名盤だ。
ケアリイがハワイアンに全然興味のない人にまで、ファンをふやした功績は大きいと思う。
彼はマウイ出身のクムフラで、昔はウルヴェヒさん(クムフラでミュージシャン)と一緒に
ハラウ(フラの教室)をやっていたのだけど辞めて、ミュージシャンに転身。
デビュー後はあっという間にスターとなり、日本でも毎年、日比谷野音でコンサートをしている。
野音の最初の頃はフラ色が薄くて、
前座でブレッド&バター(なぜだろう?)などのハワイ色ゼロの方々が出演していた時もあったが、
途中からケアリイが自分のハラウを持ってフラ教師を再開してしまったため、
だんだんホイケ(フラ発表会)色が強くなってしまった。
初期の頃の方が色気むんむんでミュージシャンぽくてよかったのに。
彼のチャント(詠唱)のワークショップを取材したことがあるが、
ユーモアたっぷりに楽しく教えつつも、内容は非常に理論立っていて教え方がうまい。
ミュージアムのディレクターだったこともあり、実は繊細なインテリという印象だ。
ちなみに「涙そうそう」のハワイ版「ka noho na pili kai」は彼の曲だ。
彼のおすすめアルバムをもう一枚挙げるとしたらこれ。
亡くなった祖母を想って作ったアルバムだそうで、最後の「good by my friend」は泣ける。
誰かを亡くしたことのある人にはぐっとくると思う。
そしてこのアルバムを聴くと猛烈にマウイに行きたくなるのだ。
ということで「フラダンサーやハワイアンファンじゃなくてもとっつきやすい有名ソロミュージシャン、
かつ日本人好み・・」というくくりで続けていこう。
そうすると次はウェルドン・ケカウオハ Weldon Kekauohaだろう。
彼は第一次ブームのケアリイやハパよりは少し後に活躍し始めた世代という印象だが、
まあ売れたころにはすっかりおじさん風で(失礼!)、いい味出てますという感じ。
イチオシは2012年のこれ。
フラで踊れるような定番曲もそれなりに多く入っているのに、
どこかアレンジが現代的でベタ感がない。
あまり明るすぎないマイナーアレンジが私は好み。
彼はワイキキのライブハウスで定期的に演奏していて、いわゆる気軽に会えるミュージシャンだ。
前に千葉の小さなカフェで、さらりと演奏している姿を見たこともある。
客から自分のじゃないフラの曲をバンバンリクエストされても全然嫌な顔しないで、
にこにこ演奏してくれる、とってもきさくないい人だった。(日本人、失礼過ぎる・・)
マイナーコードぽい雰囲気といえばネイザン・アヴェアウ NATHAN AWEAUもすごくいい。
彼はここ最近では私の一番お気に入りのハワイアンミュージシャンかもしれない。
おすすめはこれ。タイトルの「IO(イオ)」はハワイ固有種のタカの一種らしい。
ちょっと物悲しいような雰囲気だけど、美しい声がいい。
私はこういうちょっとソフトにかすれの入ったやさしい声が好き。
「Uhiwaiウヒヴァイ」というラブソングなど、演歌のように染みる。
ちなみにウヒヴァイは深い霧という意味。歌の舞台だといわれているコオラウ山脈は、
いつも雨がパラパラと降っていて山の上の方が霧で隠れている。
歌のイメージの通りの場所だ。
ネイザンは元HAPAという有名バンドのボーカルだった人で
(2人組のHAPAは何度かボーカルメンバーが入れ替わっている)
日本ではちょっと地味な存在だけど。
現地ではソロとして大成功して受賞歴も多く、現在でも大人気。
さらに彼の別のアルバム「Kane’ohe」もぜひ聞いてほしい。
こちらの方がもう少しアップテンポだけど、ほどよいマイナー感があって〇。
選曲もアレンジもすごくいい。
少し古いけど名盤といえばアーロン・サラのこのアルバムも挙げておきたい。
ハワイアンなのにピアノが印象的に使われていて、これが出たときは結構衝撃的で話題になった。
斬新なアレンジには、音楽プロデューサーでもあるアーロンの実力がうかがえる。
アーロンは今、アウラニディズニーのディレクター?か何かもやってるらしい。
フラ色はバリバリでもないのだけど、数年前、このアルバムの曲はフラのステージによく使われていた。
ピアノを使ったドラマチックなスローナンバーは、
ジャパニーズフラダンサーのお姉さまたちのお気に入りだった。
このあたりの流れをくむ、最近のソロミュージシャンといえば
ジョシュ・タトフィだと言われているのだけど、どうだろうか。高音がのびやかでやさしい声は、
ちょっとIZことイズラエル・カマカヴィヴォオレ Israel Kamakawiwo’oleを彷彿とさせる。
ちなみにイズラエルとは、ハワイアンに尊敬され愛されている伝説のシンガー。
Somewhere over the rainbow/虹のかなたに」のカバーが有名な映画に使われ、
ハワイを超えて有名に。
38歳という若さで亡くなっているのだけど、名盤はいくつも残している。
ちなみに・・私は彼の歌を生で聞いたことがあり・・(そんな自分の年が恐ろしい)。
今となっては誰にも信じてもらえそうもないが、
KCCの中庭で観客が10人くらいしかいなかったチャリティーライブ(シークレットライブか?)だったと思う。
巨体のお腹にのっかったウクレレがものすごく小さく見えたのを覚えている。
「虹の彼方」にもいいのだけれど、彼らしいのはやっぱり、「アケボノ、ムサシマル、and コニシキ~」と
ハワイ人の関取たちを歌った「Yokozuna」とか、
マウイをハワイアンスーパーマンと称えた「Maui Hawaiian Sup’pa Man」だろう
(大まじめなところがよいのです)。
1枚挙げるとしたら「Somewhere over the rainbow」も
「Maui Hawaiian Sup’pa Man」も入ったこれ。
彼の銅像をワイアナエで見たことがあるのだけど、その時の写真がどうしても出てこない。。いつだっけ。。
さて、ジョシュ・タトフィ Josh Tatofiに戻る。
このいかついルックスで、さぞ現代風にアレンジされているかと思いきや、
聞いてみると意外にフラ色の強い、ハワイアン伝統の曲がうまい。
ただ、この手のハワイアン・ソロボーカルとしてめずらしいのは、タヒチアンの要素が強いこと。
タヒチアン・バンジョーの高い乾いたポロロンという軽快な音色で始まる曲が、
アルバムにいくつか収録されている(ハワイアンとタヒチアンは違います)。
ジャズやポップスっぽい歌とか、まるっきりのR&Bも歌うし、
いろんな曲がこなせる器用な人なのだろう。
ただ、曲の雰囲気がそれぞれ違いすぎて、
ひとつのアルバムに一貫したテーマというか色を出せてないように感じるかも。
こちらはピアノアレンジが多くて、落ち着いた雰囲気のアルバムPua Kiele。
ハワイアンナンバーの間にちらっとはさまる懐かしいR&B風の曲がいい。
こちらは、タヒチアンからコミックフラ風の曲まで幅広い。
「Melia」みたいな売れ線を意識した曲もあり。
ジョシュと並ぶもうひとりの人気若手ミュージシャンといえばカラニ・ペア Kalani Pe’aだろう。
彼はジョシュよりかなり正統派路線。
(CDアルバムの写真のスタイリッシュさと内容の強いフラ感が合ってない)
曲も声もいいと思うけど、まったくフラを踊らない人に響くかはわからないな。。
同じマウイ出身のエイミー・ハナイアリイとfeat.していたのは知らなかった。
私的には「No anei」に入っている「Superstar」(カーペンターズ)のカバーは好き。
ソロジャンルで、触れておかないといけないのは、クアナ・トレス・カヘレかもしれないが、
彼はナ・パラパライというグループの方でも活動があるので、
グループジャンルで詳しく紹介したいと思う。
ここに挙げたミュージシャンの大半がマウイ島出身。というかミュージシャンはマウイの人が多いのだ。
ということで次へ続く。
※番外編
「good by my friend」からの私のベスト「おばあちゃんを悼むソング」。
松たか子「桜の雨、いつか」
エド・シーラン「supermarket flowers」