ワイルクの歩き方

ワイルクには海も山もないけれど、ぶらぶら歩いてお店をのぞいたりカフェに入ったりして
のんびり過ごすには最適の町だ。
東京みたいになってしまったホノルルと違って、オールドハワイの雰囲気がただようのもいい感じ。

そこでワイルクを1日でまるっと楽しむコースを考えてみた。
テーマは「メイド・イン・マウイ」を探す町歩き。
さて、まずは9時前に町に到着し、中心地にある町のパブリック駐車場に
車を入れるところからスタートしたい。メイン・ストリートからNマーケット・ストリートを右に曲がり、
次のピリ・ストリートを左に曲がると、広い無料駐車場がある。
ここに駐車して、メイン・ストリートとNマーケット・ストリートの交差点角にある
雑貨店「ネイティブ・インテリジェンス」へ向かう。

ネイティブ・インテリジェンスは地元の有名クムフラ(フラの先生)のモリタウさんが、
奥さんと経営している。
ハワイ文化の専門家である彼の審美眼で選ばれたメイドインハワイの逸品が並び、
そこらへんのダサいハワイアンショップとは一線を画すスタイリッシュな品揃え。
フラの楽器やフェザーレイなどのフラガール御用達グッズはもちろん揃っているし、
博物館にありそうな美しい工芸品や専門書も充実している。
さらにモダンなデザインの帽子やネクタイ、アクセサリー、家具まで
とにかく扱う商品が幅広い。知人はここでシンプルな幾何学デザインのTシャツをおみやげに購入したと言っていたし、
私はハワイ固有種の鳥のネネのぬいぐるみをゲット。
地元の友人はマニアックなハワイ文化の本を買っていた。
ここでメイドインマウイのグッズを購入してほしい。
男性ならハワイ柄のネクタイ、女性なら手染め布のバッグがおすすめ。

さて、次はすぐ向かい側にあるセレクトショップの「マウイ・シング」に行きたいところだが・・
なんとここは数カ月前に突然閉店してしまった。
地元デザイナーの洋服や雑貨、オーガニックの子供服などを扱うかなりハイセンスな店だったのですごく残念。
ここでは「ハワイアン花札(?)」などという一風変わった商品を見かけたこともあり、
その攻めた品揃えが大好きだった。いつか再開してくれることを願う。

このあたりは中古レコード屋や古道具屋もちょいちょいある。
実は昔、ワイルクのこの辺りは質屋通りだったそうで、その名残りらしい。
現在は想像もつかないけど、周辺にはおねーさんのいる飲み屋などが多かったそうなので、
そういうところに行くため?の質屋だったのかもしれない。

まだ昼前。時差ボケでぼんやりした頭をはっきりさせたいので、
いきなりここでコーヒーブレイクしてしまおう。マウイ・シングの向かい側にある「ワイルク・コーヒー」は、
地元住民が集うご近所カフェ。ビーガンのサンドイッチがあり、ローカルアーティストのアートなども飾られていて、
ちょっとヒッピーテイスト漂う店だ。
昔のノースショア・コーヒー・ギャラリーとどことなく似ている(わかるだろうか?)。
野菜たっぷりのサンドイッチとコーヒーを注文してまったりすると、
「もう歩かなくてもいいかー」という気持ちになってしまう。

カフェのソファに沈んだ体をよいしょっと起こして、もうひと歩き。
Nマーケット・ストリートの少し先にある「ハー・ワヒネ」というブティックへ。
ここはオリジナルのファブリックを使ったアロハシャツやドレスの専門店。
地元のタトゥー・アーティストが描いたという伝統的なモチーフのテキスタイルは
個性的でほかの場所で見かけたことがない。
正直、あまり商売っ気がなさそうな店だし、今後も日本に出店しそうな気がまったくしないので、
ここのアロハシャツはレアものだ。手に入れておきたい。

ハー・ワヒネの向かい側には、町のシンボル「イワオ・シアター」がある。
レトロ感たっぷりのピンクの建物は、今でも劇場として現役で使われている。
ここでは建物を外側からバシバシと記念撮影するのみ。

 

Nマーケット・ストリートをさらに先に進むと交差点がある。
その交差点を右に曲がったところに、看板の出ていない不思議な建物がある。
以前、「ここ何だろう?」と前をうろうろしていたらスタッフらしい女性が通りかかって中に入れてくれたのだが、
実はタイムスリップしたかと思うほどレトロなボウリング場だった。
こちらも現役で使われているそうだが、残念ながら会員制とのこと。

 

そろそろランチの時間。
ワイルクにはいい感じの昔ながらのローカル・グルメ店がめじろ押し。
サム・サトウズやイチバン・オカズヤなど人気店はいろいろあるが、イチオシは「テイスティ・クラスト」。
車で行ってもいいが、ワイルクの中心、イアオ・シアターあたりからなら歩いても10分くらいだ。
テイスティ・クラストはザ・ハワイな定番ロコメニューのレストラン。ロコモコ、サイミン、パンケーキ。
どれも今やお目にかかるのが難しいくらいアレンジの一切ない昔ながらのシンプルな味だ。
「流行のハワイアン・キュイジーヌ?そんなの知らないもんね!」とでもいうような素朴なおいしさに、
「これだよ、これ!」とひざを打つこと請け合い。
ちびサイズのサイミンSはぜひサイドとして追加注文を。

 

おなかがいっぱいになったところで観光を。
メイン・ストリートに戻り、山の方に車を走らせると
すぐ左側に見えてくるのが「ベイリー・ハウス・ミュージアム」。
マウイの歴史・文化を知るための総本山のような博物館だが、
こぢんまりしているので軽く1時間程度で十分に見て回れる。
現地のボランティアガイド(英語のみ)をつけると、
展示物の由来が深くわかるのでおすすめだ(「ベイリーさんって誰?」って思うでしょ)。
疲れたときに休むカフェがないのが残念だが、外にベンチがあるので飲み物を買って気持ちのよい庭で休憩したい。
売店兼ミュージアムショップはある。ちなみにここのディレクターの女性は、
先ほどの「ネイティブ・インテリジェンス」のモリタウさんのご姉弟で、やはりクムフラ。

このすぐ近くに歴史スポットの「カアフマヌ教会」がある。
中に入ることはできないが、美しい建物なので、とりあえず外観を撮影。

車でメイン・ストリートへ戻り、今度は反対の海方向へ。
さっきのネイティブ・インテリジェンスからほど近い場所にあるのは、ウクレレショップの「メレ・ウクレレ」。
ローカルのマイクさんというオーナー兼職人がつくるオリジナルウクレレをメインに販売している。
特徴はめずらしいダブルホールが多いこと。
ショップス・アット・ワイレアに2号店ができたようなのだが、
こちらの方がローカルショップらしいのんびりしたいい雰囲気。
地元の人がぶらりと立ち寄って、スタッフと一緒にごきげんな演奏をしたりしている。

町歩きにはお茶をちょいちょいはさまないとだめでしょということで、スイーツ休憩。
メレ・ウクレレの向かい側に「スティルウェルズ」というケーキ屋さんがあるのだが、
ここは隠れた名店。
ホテルのパティシエだったオーナーシェフが作るスイーツが絶品なのだ。
アメリカの大味な甘ったるいスイーツではなく、ちゃんとした繊細なケーキが食べられる。
名物はクリームを包んだパイのホーン。
もうひとつの名物は店から見える西マウイの山々を望む絶景。
おいしいスイーツを食べながらマウイの絶景を楽しめるなんてちょっと贅沢かも。

そろそろ夕方。ここからは車に乗ってお買い物へ。
ワイルクの町外れにある「TJ‘s」はワイルク住民御用達の日本食スーパーだが、
観光客にもけっこう使える店だ。
人気なのはポケを量り売りしてくれるポケカウンター。ショーケースにいろんな種類のポケが並んでいるので、
好きなものを選んでポケ丼にしてもらう。夕食用のテイクアウトにも便利。
その際にポケは必ず冷凍ものじゃない「フレッシュポケ」を選ぶこと。
値段はちょっと高いけど、おいしさが段違いだから。

この店にあまり知られていない私イチオシのおみやげがある。
その名も「マンジュウ・クッキー」。一見、雑なアメリカン・クッキーみたいなイケてない外観のお菓子だが、
予想を裏切るおいしさ!(←失礼)なのだ。
ボーロのようなクッキーのような初めて食べる新食感のお菓子なのに、どこか懐かしい。
私はハワイのほかの場所で見たことがないし、日本でも食べたことがない。
メイド・イン・マウイのおみやげのひとつにぜひ。

そろそろ宿に向かおう。
今夜のお宿はワイルクの町のB&B「オールド・ワイルク・イン」。
歴史あるオールド・ハワイアンスタイルの建物は美しいし、オーナー夫妻のおもてなしも暖かいと評判だ。
日本人のリピーター旅行者にも人気があるみたいで、たまに遭遇する。
ここは朝食がおいしいのもポイントが高い(ほかの宿泊客とのテーブル英語雑談がちょいつらいけど)。
ここにチェックインしてワイルクの町歩きは終了。

庭を眺められる心地よいラナイ

夕暮れ時は庭の見えるラナイに出て、ビールを飲みながらのんびり過ごそう。
ワイルクの夜は静かすぎるほど静かに更けていく。