オアフ島のラム酒

メイド・イン・ハワイの最高級ラムを求めて

ハワイでは最近、いわゆる地酒や地ビールが流行っている。
オアフ島の焼酎「波花」やマウイ島の「オーガニックウォッカ」など
いいお酒はいろいろあるのだが、最近オアフ島にラムの蒸溜所ができて
評判になっているらしい。
早速、Hiroyoさんに見に行ってもらった。

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オアフ島中央部にあるクニア。とくに観光名所があるわけではないので、
ハワイで暮らしていてもなかなか訪れる機会がない場所だ。
でもここに、一般にも解放されているラムの蒸溜所があると聞いて、
お酒好きの私は俄然興味がわいた。


クニアまでは、ホノルルの中心からフリーウェイのH1に乗って車で約40分。
H1の5番出口から出て、農地を通る一本道を進み、脇道を入るとぽつんと緑の平屋が立っている。
これがオアフ島産ラムを製造しているコハナ・ラムだ。

この建物は、プランテーション時代にデルモンテ社が労働者用のジェネラルストアとして使用していたもの。
その元ジェネラルストアをコハナ・ラムがギフトショップに改装したのだが、天井と床はそのまま再利用。
程よいビンテージ感がモダンでお洒落な雰囲気を演出している。

ギフトショップではコハナ・ラムのラムが全種類揃い、オリジナルグッズが購入できるほか、
試飲ツアーも毎日30分ごとに開催している。
ウォークインでもツアーに参加可能で価格は$25(おみやげのグラス付き)。
運転の心配がなかった私は、試飲ツアーに参加してみた。

ツアーのスタートはサトウキビジュースの試飲から。
目の前でガリガリと音をたててジュースを作り、搾り立てをゴクリ。

スッキリとした甘さでほんのり草の香りがする味わいは、ちょっとした衝撃だった。
竹のようなサトウキビがこんな美味しい液体を秘めているなんて…。
サトウキビを見くびっていたかもしれない。


ジュースの試飲のあとは外の畑へ。サトウキビ畑かな、と思いきや、
ここではアクアポニックスを取り入れた、レタスの水耕栽培が行われていた。


巨大な水槽があり、その中には多数のティラピアが。
このティラピアの排泄物を微生物が分解。その水をレタスが栄養として吸収し、
濾過されたきれいな水がまた水槽に戻るという、とてもエコな農法だ。


レタス畑の横のミニガーデンではハワイ産のサトウキビが栽培されている。

サトウキビをじっくり観察したことがなかったが、それぞれ個性的で見た目も異なり、
安易に触ると危険なことも初めて知った。
サトウキビの伝来やハワイの人々の生活にどのような影響を与えたのかなど、
スタッフによる解説はとても興味深い。


蒸溜所に立ち寄ると、専任のスタッフがアルコール濃度や香りなどを細かくチェックし、
微調整しているところだった。


蒸溜所内の一室ではラベル貼りが行われ、人の手を通して
品質管理を最初から最後まで徹底している様子が見学できた。

コハナ・ラムでは、世界基準のラムを作るためサトウキビを絞ったジュースから
直接ラムを作るアグリコール製法を採用している。
全世界のラム生産量の約3%のみがこの製法で作られているというから、
この数字から察するに難しい製法なのだろう。


ツアーの最後を締めくくる試飲では、3種類のラムを飲み比べ。
ワインのように最初に香りを堪能してからゆっくり味わいを楽しむ。
ホワイト・ラムの「KEA」はカクテルにすると個性を発揮しそうな味わい。


木の樽でじっくり熟成させた「KOHO」は、まるでウィスキーのよう。
ロックでくいっといきたいタイプだ。
「KOKOLEKA」はカカオとはちみつ入り。甘く味に奥行きがあり、デザート酒にぴったり。

一言でラムと言っても、こんなに多様なフレーバーの幅があるとは思っていなかったので、
新鮮な発見だった。


ただ美味しいラムが購入できるだけでなく、原料の栽培から見学しつつ農業を通してハワイの歴史が学べ、
ハワイで社会科見学しているような気分になれるコハナ・ラム。
ここまで足を伸ばす価値ありの隠れた名所は、リピーターにもおすすめだ。

コハナ・ラム
92-1770 Kunia Road in Kunia
808-517-4067
10:00〜18:00 無休
www.kohanarum.com

Text by Hiroyo De la Cuba